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前川 雅樹; Yu, R.; 河裾 厚男
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 152, 2007/02
イオン注入による各種の量子構造形成メカニズムは基礎・応用の両面において非常に重要である。われわれは、陽電子消滅法の量子構造研究への適用を試みている。まず2次元量子井戸構造として炭化ケイ素(SiC)への酸素イオン打ち込みによる埋め込み酸化膜の形成に着目した。このようなSiC-On-Insulator(SiC-OI)構造は実デバイス開発においても重要な技術であり多くの研究がなされている。試料作製時におけるイオン照射量や温度などの条件は、標準的な手法に則った。照射後は酸素打ち込み領域において多くの欠陥が生成したことが確認された。熱焼鈍によっても欠陥は完全に回復せず、また埋め込み酸化膜にも多くの欠陥が残留することが明らかとなった。このように本方式によって製作したSiC-OI構造は非常に多くの欠陥を含有した構造であるため、陽電子の量子的振る舞いを発現させるにいたらなかったが、一方でこれらの結果は、従来考えられていた埋め込み酸化膜層形成方法よりも高温での熱アニールやイオン注入を行うことで、より欠陥含有量の少ない高品質な基板作成が可能になることを示唆するものとなった。
藤浪 真紀*; 小熊 幸一*; 赤羽 隆史*; 河裾 厚男; 前川 雅樹
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 151, 2007/02
Siへの自己イオン注入によって形成される欠陥層による銅不純物のゲッタリング効果を陽電子ビームを用いて調べた。Cz-Siに対して3MeVの自己イオンを1E+14/cm注入し、続いて裏面より200keVの銅イオンを1E+14/cm注入した。その後、300800Cの範囲で1時間アニールを行った。陽電子ビームを用いてS-E測定及び同時計数ドップラー拡がり測定を行った。銅不純物の分布をSIMSを用いて決定した。まず、裏面より銅不純物のみを注入したものでは、400C以上で原子空孔と銅不純物の複合体が生成し、600Cでこれが消失することがわかった。一方、表面から自己イオン、裏面から銅不純物を注入した場合では、600Cで自己イオンによって形成された欠陥層に銅不純物が堆積していることがわかった。また、700Cではさらに変化が起こったが、同時計数ドップラー拡がりスペクトルは、銅イオン注入のない場合とある場合でほぼ同じであった。これより、700Cでは欠陥層に捕らえられた銅不純物は、解離するものと考えられる。SIMS測定の結果も同様の特徴を示した。
藤巻 秀; 阪本 浩一; 河地 有木; 石井 里美; 鈴井 伸郎; 石岡 典子; 渡辺 智; 松橋 信平
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 126, 2007/02
アサの同一個体において、上下に隣接する2枚の葉にCOを前後して投与し、葉から輸送される光合成産物の動きをそれぞれイメージングした。両ケースの輸送経路,輸送速度を比較・解析した結果、これらの輸送経路は一部で互いに逆向きの流れが平行して走っている部分があることが明らかになり、このことから相互の連絡が密でないことが推測された。
藤巻 秀; 中村 進一*; 鈴井 伸郎; 石岡 典子; 茅野 充男*; 松橋 信平
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 127, 2007/02
イネ,ソルガムなどを供試植物とし、生きた植物体におけるカドミウムの吸収・移行・蓄積の様子をPositron Emitting Tracer Imaging System(PETIS)を用いて非侵襲的・経時的・定量的に画像化する技術を確立した。
木村 敦; 田口 光正; 大谷 仁己*; 平塚 浩士*; 小嶋 拓治
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 61, 2007/02
水環境保全に関する研究の一環として、実排水中の内分泌撹乱化学物質(EDCs)の放射線照射による無害化処理技術の開発を行った。EDCsの中でも最も活性が高く人畜由来の女性ホルモンである17-エストラジオール(E2)、及び工業目的として人工的に作られ、環境中の存在量が最も多いEDCsの一つとして挙げられる-ノニルフェノール(NPs)を放射線照射し、その分解挙動を明らかにするとともに、ヒト及びメダカレセプターを用いたYeast two-hybrid assayによってそれらの分解生成物を含めた毒性を評価した。この結果から、夾雑物の指標となる総有機炭素量(TOC)と無害化に必要となる線量の相関関係を明らかとした。さらに、これに基づき、実際にEDCsを含む実排水を電子ビームを用いて分解するモデルプロセスについて、コスト評価を行った。
八巻 徹也; 廣木 章博; 浅野 雅春; 前川 康成; Voss, K.-O.*; Neumann, R.*; 吉田 勝
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 35, 2007/02
イオンビーム照射とエッチング処理により得たイオン穿孔膜に、さらに線照射とグラフト重合を組合せた手法により新規な燃料電池用電解質膜を作製した。作製法は次のように行った。まず、Xeイオン(450MeV)を照射したPVDF(25m)を80Cの9M KOH水溶液で50時間処理し、100nmの孔径を持つイオン穿孔膜を得た。次に、このイオン穿孔膜に線を照射後、スチレンをグラフト重合し、スルホン化することにより電解質膜とした。グラフト率をコントロールすることにより、0.42.2mmol/gのイオン交換容量を持つ電解質膜を得た。これらの電解質膜の膜面方向と膜厚方向のプロトン導電性を交流インピーダンス法で測定したところ、膜面方向は、イオン交換容量が1.7mmol/gまで測定限界以下であったが、膜厚方向ではイオン交換容量とともに増加した。これらの結果から、イオンビームを用いることで、一次元的なプロトン伝導経路を持つ異方導電性電解質膜を作製することができた。
百合 庸介; 宮脇 信正; 神谷 富裕; 横田 渉; 荒川 和夫; 福田 光宏*
no journal, ,
ビーム輸送系において運動する荷電粒子ビームの横方向強度分布を非線形磁場によって制御することが可能である。本発表では、この原理を利用した、高崎量子応用研究所AVFサイクロトロンにおける多重極電磁石を用いた低フルエンスイオンビームの大面積均一照射に関する検討結果について報告する。8極電磁石が作る非線形磁場を用い、ターゲット上でビームプロファイルを均一化するために、TIARAビーム輸送系のパラメータを最適化した。単粒子トラッキングの結果、初期的にガウス分布であるビームを2次元均一分布に変換できることを確認した。10cm四方の大きさの均一領域の形成が可能で、ビーム照射密度が高いほど均一性は良い。運動量分散や色収差など現実の輸送系やビームが有する性質が均一照射に及ぼす影響についても検討した。
横山 須美; 佐藤 薫; 真辺 健太郎; 遠藤 章; 野口 宏; 金子 広久; 沖 雄一*; 長田 直之*; 神田 征夫*; 飯田 孝夫*; et al.
no journal, ,
高エネルギー陽子加速器施設では、2次的に発生する高エネルギー陽子と空気との核破砕反応等により、空気中に浮遊性放射性核種や放射線分解生成物が生成される。後者は核種の性状(粒径や化学形)に影響を与える。このため、浮遊性核種の性状と生成機構の解明は、高エネルギー加速器施設での内部被ばく線量評価法及び空気モニタリング技術を確立するうえで必要不可欠である。そこで、平成1517年に連携重点研究「陽子加速器施設における線量評価に関する研究」の一環として、知見が十分ではない空気中のAr-40から生成される放射性塩素(Cl-38及びCl-39)のエアロゾル・ガス比,非放射性エアロゾルの粒径分布,硝酸生成率(G値)等をTIARAの陽子照射場を用いて明らかにした。この結果、放射性塩素は、50%以上がエアロゾルで存在すること,生成初期段階の非放射性エアロゾルの中央径は1220nmであること,陽子照射により空気中に生成された硝酸のG値は1.460.12であること等を明らかにした。これらの結果より、性状ごとの線量評価が可能になった。
久保田 直義; 中尾 誠*; 落合 謙太郎; 西谷 健夫; 須藤 広行*; 石岡 典子
no journal, ,
IFMIFの加速器構成材料であるCr, Mn, Fe, Ni及びAuの重陽子入射による放射化断面積の測定をTIARA施設のAVFサイクロトロンを用いて行った。測定対象とした反応は、CrについてはCr(d,x)V, Mn、MnについてはMn(d,x)Mn、FeについてはFe(d,x)Mn, Co、NiについてはNi(d,x)Co, Cu、AuについてはAu(d,x)Auで、エネルギー領域は26-47MeVである。得られた断面積を他の実験値、ACSELAM及びTALYSの計算値と比較した。また、SUS316及びF82H照射実験からそれぞれの放射能を評価し、今までに得られた各核種ごとの断面積を使った計算値と比較した。その結果、V, Mnは計算値が1450%程度の過大評価になることがわかった。
遠藤 章; 佐藤 達彦; 佐藤 大樹; 志風 義明; 谷村 嘉彦; 三枝 純; 堤 正博; 山口 恭弘; 金子 広久; 小田 啓二*; et al.
no journal, ,
平成1517年度にわたり、連携重点研究「陽子加速器施設における線量評価に関する研究」において、高崎研TIARAを利用して行った高エネルギー中性子用モニタ,線量計の開発の成果を報告する。J-PARC等の高エネルギー加速器施設においては、遮蔽体を透過し線量寄与が大きい高エネルギー中性子に対する放射線防護が重要である。そこで、高エネルギー中性子に対して適切な線量応答特性を有する中性子モニタ,個人線量計の開発を進めるとともに、測定値の保証に不可欠な校正技術に関する研究を行った。モニタの開発では、液体シンチレータとデジタルオシロスコープを用いた信号解析技術により、1GeVまでの中性子に適用できるモニタを開発した。個人線量計の開発では、固体飛跡検出器に重水素化物質とポリエチレンから成る二層構造ラジエータを付加することで高エネルギー中性子に対する感度,エネルギー特性を改善する方法を見いだした。これを高速顕微鏡による高速読み取り技術と組合せ、積算型個人線量計として利用できる見通しを得た。校正技術の開発では、TIARA準単色中性子場の特性評価を行い、照射野内外の中性子スペクトル,散乱線の寄与割合等を評価し、今後の校正場構築のための基礎データを取得した。
遠藤 章; 佐藤 達彦; 佐藤 大樹
no journal, ,
高エネルギー加速器施設においては、加速された粒子が引き起こす核破砕反応等により、さまざまな種類の二次放射線が発生する。その中でも高エネルギー中性子やミューオンは遮へい体中の透過力が強いため、加速器運転時の施設内外における主たる被ばく源になる。これに対し、原子力施設において使用されている既存の放射線モニタは、高エネルギー放射線に対する感度,応答特性が不十分で、線量を適切に測定することができない。本研究では、幅広いエネルギーの中性子,光子,ミューオンに対する線量を同時に測定できる高性能放射線モニタDARWINを開発した。DARWINの概要と特徴,TIARA等を利用して行った特性評価,実用機器の開発を目指した今後の研究の展開について述べる。
小野田 忍; 平尾 敏雄; 阿部 浩之; 伊藤 久義; 佐波 俊哉*
no journal, ,
地上に降り注ぐさまざまなエネルギーの中性子が半導体に入射することによって、シングルイベント効果(SEE: Single Event Effect)と呼ばれる半導体の機能障害が発生する。本研究では、中性子誘起SEEの発生機構を明らかにする目的で、その素過程であるシングルイベント過渡電流(SETC: Single Event Transient Current)の測定手法を開発し、解析を進めてきた。今回は、65MeV陽子を用い、核反応生成粒子が原因となり発生するSETCの発生分布の電圧依存性を調べた。その結果、すべての印加電圧において、電荷量は約1pCまで分布することがわかった。これは、核反応生成粒子のエネルギーに換算すると、約22MeVに相当する。発生頻度が最も高くなる電荷量は、約0.1pC(2.5MeV)から0.2pC(5MeV)の範囲に分布し、印加電圧依存性を持つことが明らかとなった。一方、SETCのピーク電流値,立下り及び立上り時間の発生頻度分布から、ピーク電流値が高くなるとともに、立下り及び立上り時間が短くなることがわかった。これは、印加電圧が高くなり、空乏層中の電界強度が強くなると、キャリアの移動度が大きくなるためと考えられる。核反応生成粒子のエネルギーが低く電荷量が小さい場合、電界強度が強いときにトリガレベルを超えることができたSETC信号は、電界強度が弱いときにトリガレベルを超えることができずに検出されないと考えられることから、電荷量分布の電圧依存性を説明することができた。
三島 健太; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 阿部 浩之; 伊藤 久義; 河野 勝泰*
no journal, ,
人工衛星に搭載されている半導体は、宇宙環境に存在する放射線に曝されることによって、その電気特性が劣化するトータルドーズ効果(TID: Total Ionizing Dose effect)や論理情報が反転するシングルイベント効果(SEE: Single Event Effect)等の影響を受ける。SEE耐性を備えた半導体を開発するために、その発生機構を究明し、発生予測モデルを構築することが求められている。本稿では、SEE発生の引き金となるイオン誘起電荷の伝播挙動の解明をするため、シリコンpinダイオードに重イオンを照射したときに発生するシングルイベント過渡電流(SETC: Single Event Transient Current)の測定とTCADシミュレータを用いた理論解析を行った。その結果、実測されたSETCから見積もった収集電荷量は、理論解析より求めた理想的な発生電荷量より約二割少ないことが見いだされた。電子-正孔対のオージェ再結合を考慮したモデルを導入することで実験結果のシミュレーションを試みたが、一致には至らなかった。したがって、高エネルギー重イオン照射の場合、従来のオージェ再結合以外に新たな効果を導入する必要があるといえる。
浅野 雅春; Chen, J.; 前川 康成; 吉田 勝
no journal, ,
前照射・後グラフト重合法により得た68.3%のグラフト率をもつMeSt/tBuSt/DVB/BVPE(40/40/2.5/17.5wt-%)四元系グラフト重合膜をスルホン化した。この電解質膜(プロトン導電率:0.058S/cm)の60C,10Mメタノール濃度でのメタノール透過性を検討したところ、メタノール透過係数はナフィオン112の6.63cm/sに対し、四元系電解質膜では1.16cm/sになることがわかった。また、四元系グラフト膜を線多重架橋した後、スルホン化した四元系電解質膜では、メタノール透過係数はさらに小さくなりナフィオンの1/10にまで抑制できることもわかった。この電解質膜を用いて、70Cのセル温度で5Mメタノール水溶液を燃料とした発電試験を行った。得られたI-V特性から求めたそれぞれの最大出力密度はナフィオン112の33mW/cm に対し、四元系電解質膜では2倍以上の74mW/cmになることがわかった。
吉田 勝; Chen, J.; 浅野 雅春; 八巻 徹也; 廣木 章博; 前川 康成
no journal, ,
電子線,線による高分子フィルム基材への架橋構造の付与技術と前照射・後グラフト重合技術を組合せることで、メタノール燃料に膨潤し難く、かつイオン交換容量を0.53.0mmol/gの範囲で制御した高性能の燃料電池用電解質膜を全フッ素系基材であるポリテトラフルオロエチレン、部分フッ素系基材であるエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を用いて作製プロセスの最適化に成功した。一方、イオンビーム利用では、照射に沿って存在する潜在飛跡内のラジカルや化学エッチング後に形成される円柱状のナノ貫通孔を持つイオン穿孔膜に再照射によってラジカルを付与し、グラフト鎖の導入、次いでスルホン化によって電解質膜を作製した。これらの成果を学会にて報告する。
荒川 和夫; 福田 光宏*; 島田 博文*; 酒井 卓郎; 佐藤 隆博; 及川 将一*; 上松 敬; 柏木 啓次; 奥村 進; 倉島 俊; et al.
no journal, ,
脳下垂体腫瘍,脳動静脈瘤及び加齢黄班変性症を対象症例として、イオンマイクロサージェリー治療照射に必要なビームサイズ,体内患部位置(深さ),患部の大きさ,照射線量,照射回数などの検討、及び炭素イオンの必要エネルギー,粒子数,ビームスポットの体内での拡がり,エネルギー幅の拡がり等の物理的な検討を行った。さらに、マイクロサージェリー治療照射ビームラインのイオン光学計算を行い、ビーム径100m1mmの平行度の高い0.11.0mmのペンシルビームを形成する解を得るとともに、四重極電磁石,偏向電磁石,レンジシフターなどの構成要素とその最適配置位置を得た。照射技術として、レンジシフターとビームスキャニング電磁石の組合せにより、脳下垂体腫瘍等頭頚部内の深部を精密に照射するためのディスクリートスポットスキャニングシステムと重イオンビーム誘起蛍光測定法を用いた加齢黄班変性症に対する照射位置決めシステムを検討した。
大越 清紀; 宇野 定則; 千葉 敦也; 山田 圭介; 齋藤 勇一; 石井 保行; 佐藤 隆博; 水橋 清
no journal, ,
高崎量子応用研究所TIARAのタンデム加速器,シングルエンド加速器及びイオン注入装置の3台の静電加速器における平成17年度のイオンビーム発生等の技術開発について報告する。主な事項は以下のとおりである。タンデム加速器では多価クラスターイオンの生成加速試験を行い、ターゲット上でAuを70pfA程度検出することに成功した。また、高電圧ターミナルの荷電変換ガスの種類を変え、クラスターイオン解離率との依存性について調べた結果、分子数の小さいガスの方が、クラスターイオンを解離せずに透過しやすい傾向があることがわかった。イオン注入装置ではフラーレン(C)イオンの大電流化を目指し、Cビームとサポートガス(He, Ar及びXe)の種類及び流量の関係を調べた結果、質量数の大きいガスの方が、より多くのCイオンを得られる可能性があることがわかった。さらに、シングルエンド加速器ではエネルギー高安定化の技術開発を進めるため、これまで行ってきた核共鳴反応によるエネルギー幅測定法の分解能について評価を行った。その結果、本方法によりビームエネルギー幅測定を510オーダーの分解能で測定できることがわかった。
横田 渉; 佐藤 隆博; 及川 将一*; 酒井 卓郎; 奥村 進; 倉島 俊; 宮脇 信正; 柏木 啓次; 神谷 富裕; 福田 光宏*
no journal, ,
TIARAのサイクロトロンで開発を進めている重イオンマイクロビーム形成技術の開発では、2004年度に260MeV-Neビームを用いて、直径が約2mのマイクロビーム形成に成功した。2005年度には同ビームを用いて9回の実験を行い、平均的に1.7mのマイクロビームを得た。ビーム径とビーム強度の持続性については十分な知見が得られていないが、同ビームの2m程度のマイクロビームを数時間の照射実験に提供できる見通しが立った。そこで、2006年1月と3月に、マイクロビームを大気に取出して試験的に細胞や半導体等に照射する実験を初めて試みた。
八巻 徹也; 澤田 真一; 浅野 雅春; 吉田 勝; 前川 康成; 関根 敏彦; 寺井 隆幸*
no journal, ,
放射線を用いてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜に架橋構造を付与し、そこへスチレンをグラフト重合することで作製される燃料電池用電解質膜の物質輸送特性について、特に架橋とプロトン伝導性,メタノール透過性との関係を調べた。実験では、架橋密度の異なる架橋PTFE膜から合成した電解質膜に対し、温湿度制御下の交流インピーダンス測定によるプロトン伝導率,高濃度メタノール水溶液下におけるメタノール透過係数を測定した。プロトン伝導率は架橋密度が高い方が優れており、この結果については、含水による体積変化が抑制され膜内のプロトンが高濃度に存在することによると解釈している。一方、メタノール透過抑制能は、最高で従来膜の10倍まで向上し実用化の要求を満たすことが明らかになった。架橋構造による膨潤抑制と、実験値から計算される拡散係数(透過の速度を表す)の低下との両方が本結果に寄与していることが示唆された。
杉山 僚; 山本 春也; 高野 勝昌
no journal, ,
耐熱性の高いレーザー光学素子や複合的な光機能を誘発できる新型レーザー素子を作製するためには、中性アルゴンビーム照射による表面活性化法を用いたレーザー結晶の接合技術が必須である。このアルゴンビームを単結晶サファイアに照射した際に結晶表面に現れる形態変化を把握するために、XPS, RBS及びAFM測定を行った。その結果、結晶表面のランダム度及び残留アルゴン量は、照射電圧及びビーム照射角度、それぞれの増加に従い、比例的に増加することがわかった。一方RBS測定からは、処理温度の増加に伴い結晶性の回復と残留アルゴン量の減少を確認した。活性化ビーム照射後の平均表面粗さ(Ra)4.27nmは、1573Kの熱処理によって0.69nmと照射前の0.43nmの状態に回復することがAFM測定において確認された。